2015年5月2日土曜日

水道の安定供給について




長い歴史の水道事業
 明治二十三年に秦野市水道の前身である曽屋区水道が給水を開始して、今年で百二十五年を迎えました。全国三番目の近代水道は、関東大震災の復旧、昭和四十年代以降の人口急増や工場進出に伴う水不足への対応、さらには集落ごとにあった小規模水道の統合など、多くの困難を克服しながら、現在に至っています。
 蛇口をひねればいつでも安全でおいしい水が出るので、今や「有り難い」から「当たり前」になってしまいましたが、先人の努力に感謝するとともに、今後も大切に維持していかなければなりません。
 そこで、平成二十六年第三回定例会の一般質問及び二十七年第一回定例会の代表質問では、六年ぶりに水道事業について取り上げました。この間、東日本大震災もあり、水道管の耐震化は進んでいるのか、そして経営は大丈夫なのか。
耐震化を着実に推進
 市内には約七百キロメートルの水道本管が張り巡らされていますが、耐用年数の四十年を超えた老朽管も多く、また耐震化率も約二十パーセントと低いため、水道管路の計画的な更新が不可欠です。
老朽化している八幡山中継所
 水道局では、導水管・送水管の基幹管路や、病院などへの重要な配水管、小田急線を横断している管路などを優先して順次更新しています。また、市の南側を通り多くの世帯に水を送っている県水送水ルートについても準備が整い、下大槻の二タ子送水ポンプ場から別ルートで七キロメートルの本格的な工事に着手します。
 多額の費用と長い時間がかかりますが、耐震化のスピードを少しでも上げ、市民生活に欠かすことのできないライフラインとして、災害に強い水道を築いてほしいと思います。
厳しい経営状況
 一方、企業活動の停滞や節水機器の普及などにより、水使用量の減少が続いており、平成二十三年に十六年ぶりの料金改定で平均で二十一パーセントアップをしたにもかかわらず、料金収入は低迷し、経営環境は厳しさを増しています。
 友人たちが家を建て替えて、水道料金が半減したと耳にした事がありました。節水機器に更新すると水道局のデータでは平均で三分の一程度減少するとのことです。これからは人口減少が加速し、さらに水使用量・料金収入の低下が予測される中で、安定経営と水道管等の更新整備の財源確保が大きな課題となっています。
新たな中継場予定地から望む丹沢、弘法山
上智短大裏
 これまで高利率の企業債の借り換えによる利息の圧縮、県水受水費の軽減、遊休地の売却や活用などのほか、料金業務の包括委託導入による未収金対策や人員削減など、効率的な経営に取り組んできましたが、まだまだ改善の余地があります。
安易な料金改定に走るのではなく、まずは、私が提唱してきた上下水道組織の統合など、更なる経営合理化や市民サービス向上の道筋をつけた上で、より適正な料金体系の在り方を検討していくべきです。
水道を次世代に引き継ごう
 私たちは長い歴史を重ねてきた秦野の水道を、次世代に営々とバトンタッチしていく責任があります。将来を見通した経営基盤の強化と長期的な施設整備、これらのバランスのとれた取り組みを強く要望しました。

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