日本は武士道精神の国です。
しかし、最近は忘れ去られてしまいそうで悲しくなります。
少し前まではオリンピックに出場する選手は皆「死ぬ気で頑張ってきます」と言ってオリンピックに望んでいましたが、今では「楽しんできます」と言う選手が増えています。
この「楽しんできます」はリラックス??最初に言い始めた選手たちは、オリンピックなどの大舞台で自身が経験したことのないほどアドレナリンが分泌して、自己記録を大きく超えることができるチャンスを楽しんできますと表現したのであります。決して気軽に出た言葉ではありませんが、現在の子供たちはリラックスする事と勘違いしているのではないか?試合に臨む姿勢や前後の態度を武士道精神で貫いてほしい。
以下、産経新聞7月6日正論から
平和安全保障研究所理事長・西原正 五輪で見たい日本の武士道精神
2012.7.6 03:14 [正論]
ロンドン・オリンピックが迫ってきた。メディアは連日、団体競技や個人競技への出場権獲得、勝率、メダルの獲得予想などをにぎやかに報道している。日本のチームや選手にはぜひ、一つでも多くのメダルを取ってきてほしい。
≪国旗、国歌への敬意で「品位」を≫
しかし、同時に日本代表選手には日本人としての品位も求めたい。「日本代表選手」には各自が競う能力の高さと強い闘志以外に、日本人として恥ずかしくない振る舞いを見せてほしい。それはごく自然に表れるのが最も望ましいが、日本代表としての自覚を持たせることに関して、日本オリンピック委員会およびその役員の属する各連盟および協会はもっと責任を感じるべきである。
「日本代表選手」とは国内での選考過程や複数国との予選試合を勝ち抜いた選手というだけではない。オリンピックの試合は世界中で億単位の人がテレビで観戦し、新聞雑誌のスポーツ記事を読む。世界中の人がオリンピック大会を通して日本および日本人を評価する機会とするのである。
例えば、サッカーなどの試合前の国歌「君が代」演奏の時など、国歌を斉唱していない選手がいるのは見ていて恥ずかしい。また、体を動かしたり、あちこちに目をやったりしている選手が少なからずいる。国の代表者らしく振る舞っていない。同時に、相手国の国歌が演奏されるときにも、日本人選手は静かに気をつけの姿勢で敬意を表するのが、日本人の品位ではないだろうか。要は、国旗、国歌に敬意を示すべきだという教育と自覚ができていないのである。学校教育の欠陥がそういうところに露呈している。
≪フェアプレー精神を貫け≫
さらに日本人としてフェアな競技参加を貫いてほしい。これまでのところ、日本人選手が競技に際して、体重や年齢をごまかすとか、ドーピング服用嫌疑とかで失格になったという話は聞いていないのは大変喜ばしいことである。また、審判に賄賂を渡して競技を有利に誘導したという醜聞も聞いていないのもうれしい。われわれはそれらを誇りに思ってよい。
2000年のシドニー五輪の柔道の試合で篠原信一選手が、審判の誤審だと多くの専門家が見たにもかかわらず、それにクレームをつけず、「自分が弱いから負けた」と潔くそれを受け入れた。このことで、篠原選手は日本人の真の品位を高めることになった。
反則あるいは反則まがいの行為が最も多い競技はサッカーだろうか。イエローカード(警告)やレッドカード(退場)を導入しているが、チームによっては、そうしたカードを得た場合、必ず審判に食ってかかるチームがある。そうした光景を見ると、「フェアプレー精神はどこへ行ったのだろう」と不愉快になる。
ボールの取り合いで、相手を後ろから押し倒したり、相手の足を引っかけたりして、妨害する者がいる。それらの行為はルール違反すれすれのものであることが多い。幸い、日本チームの戦い方は概して紳士的で、イエローカードやレッドカードを受けることが少ない。そのため、反則まがいの行為をする相手チームとの試合では不利になってしまうが、日本チームは清く戦う姿勢を貫いて日本人の品位を示すべきである。
≪柔道のガッツポーズに違和感≫
日本人の品位を示すさらに重要なことは、競技における礼節である。とくに日本伝統の柔道の試合では、競技の開始前および終了時における試合相手への礼が基本である。しかし、オリンピック大会や他の国際試合で、日本人選手の中には、試合終了の礼をする前からガッツポーズをして勝った喜びを表す者がいる。柔道の礼節は敗者への礼儀、いたわりであるはずである。そしてこれこそが、武士道でいう惻隠の情なのである。
柔道が国際的競技種目として認められるようになってから、ともするとメダル至上主義に傾き、礼節が衰退し始めたようにみえる。オリンピック大会では、少なくとも日本人選手は礼節を保持すべきである。世界の柔道家には、柔道の持つ精神性を好み、「正しい柔道」の復活を望む人が多いと聞く。日本柔道連盟はもっと積極的に代表選手に対する指導をすべきではないか。少なくとも、勝った場合のガッツポーズはやめさせるべきである。そして国際柔道連盟に「正しい柔道」に回帰すべく発言していくべきである。
ついでながら、各競技種目に茶髪の選手がいるが、これも、将来は日本を代表する選手としてふさわしい自然の姿で参加させるように、日本オリンピック委員会が検討するのも意味があるのではないだろうか。日本伝統のスポーツであり日本人らしい姿で参加するのが望ましい柔道も、この問題と無縁ではなかった。
日本オリンピック委員会は、間もなく始まる大会に向けて進める日本人選手の強化訓練の中に、国旗・国歌への姿勢、フェアプレー精神、試合での礼節など、日本人選手としての品位を高める教育も含めるべきである。(にしはら まさし)
http://sankei.jp.msn.com/sports/news/120706/oth12070603140001-n1.htm
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